嘉来流・迷路講座


単純迷路の作成法とその注意点
 
 
ここでは 「普通迷路」 の形をした単純な迷路の作成法と作成上における注意点について考察します。
 迷路作成の基本パターン   [ ここから画像を読み込んで下さい ]
1.碁盤目状のマスを作り、マスの間の線を消していくことで道を作る方法。
 まずスタートとゴールを結ぶ道を作り、それから残りの部分を袋小路でうめていくのがやりやすいでしょう。この方法の利点は、道幅が必ず一定になることです。私はパソコン上で迷路を作る場合はこの方法にお世話になっています。
2.外壁を起点として、壁を伸ばしていく方法。
 ちなみに、壁が外壁からどのように伸びているかということは重要な着眼ポイントです。この点についてはのちほど、「迷路作成における注意点」で取り上げます。
3.スタートからジワジワと道を拡げていく方法。
 紙と鉛筆と定規を使う場合に重宝します。ただ、道幅を一定にすることに気を使わなければなりません。 
 迷路作成における注意点       
壁の形            [ ここから画像を読み込んで下さい ]
   さて、上でもちらっと述べましたが、壁が外壁からどのように伸びているかということは重要な着眼ポイントです。

の迷路は、一見何の変哲もないように見えますが、実は悪い見本なのです。何が悪いかといいますと、壁の形が悪いのです。単純迷路においては壁の形が悪いというだけでしばしば迷路が台無しになってしまいます。

悪い点を具体的に解説しますと、この迷路では、上の外壁中央部分から左下にむかって伸びる、一本の長い壁が見て取れます(A’の赤線)。この壁が迷路全体を大きく二分しています。この壁の終点から少し右にずれたところにまた、長い壁が見て取れます(もう一つの赤線)。左図 に目を戻しても、その二つの壁は強烈に存在していることがわかるでしょう。

このたった二本の壁のおかげで、スタートからゴールまでのアウトラインが浮き彫りになってしまいます(青線)。こんなにあっさりとメボシをつけられるようではいけません。

青線のメボシがついた後は、もう進む方向は決まったわけですから、躊躇せずその方向に進むのみです。それで難なくゴールできます。スタートの右側にある三角形地帯などは、解く人が足を踏み入れることのない無駄なスペースとなってしまうのです。

とはいえ単純迷路では、一つ以上の壁が迷路全体を二分、三分することはごく普通のことです。ただ、今回の例では、大きな二つの壁が互いに接近しすぎていたこと、そして、壁の分岐点が少なくほぼ真直ぐに伸びており解く人に発見されやすかったことが致命的な欠陥でした。迷路全体に支配力をもつような大きな壁は、できるだけ分岐点を多くし、形もクネクネとうねらせるのがよいと思われます。

壁の形の良い例と極端に悪い例を に示しました。どちらがどちらであるかは明白ですね。
浮島の功罪         [ ここから画像を読み込んで下さい ]
スタートからゴールまでの正解道順は一本がいいのでしょうか、それとも周り道を作ることで二本以上にするのがいいのでしょうか・・・。その答えは迷路の性格と規模によって変わります。

ご存知の方も多いかと思いますが、一般に、「迷路を解くときは右手を壁につけて進めば、時間はかかれど必ずゴールできる、あるいはどんなに道に迷っても必ずスタートに戻ってこれる。」という言い方がされます。しかし、その方法ではスタートに必ず戻れることは確かですが、必ずゴールできることは確かではありません。スタートまたはゴールが浮島にある場合がそうです。(浮島とは、外壁から伸びている壁に接していない壁をいいます) がその例で、壁に手をつけたままではいつまでも同じ場所を周ってしまいます。

なぜこのような話をしたかといいますと、浮島を作ることで、正解道順が一本しかない迷路にはない特徴が現れてくるということ、また、浮島をいくつ作るかどうかで正解道順の数が決まってしまうということを言いたいからです。 では浮島が一つ増えるごとに正解道順が一つ増えていくことがお分かり頂けるでしょう。浮島が存在しない迷路は正解道順がただ一通りになります。反対に、正解道順を一通りにしたいという場合は浮島を作ってはなりません。

さて、「浮島を作る」=「正解道順が増える」という法則を目の当たりにした今、浮島を作るということはすなわち、迷路を簡単なものにしてしまうことだ、と思われるかもしれません。しかし、そう単純に話が進むのは、 のように小さくてごく簡単な迷路の場合です。

浮島特有の現象とえば、同じ場所をぐるぐる周ってしまうという可能性があることですね。規模の大きな迷路では、この現象を利用して、解く人を迷わせることができます。解く人は「前へ前へと進んできたはずなのに、さっきと同じ場所に戻ってきてしまったぁ!」となるのです。迷路の規模を大きくすることで、浮島の存在を気付かせにくくするのがポイントです。

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