嘉来流・迷路講座
道に方向性をもたせよう |
ようこそ、嘉来的世界へ。 どうぞごゆっくりと、迷路の世界をお楽しみください。 このコラムでは、道に方向性をもたせる効用について述べてみます。 |
単純な迷路では物足りないときや、迷路に深みを持たせたいときには「道に方向性をもたせる」と、立派な迷路に仕上がります。 「道に方向性をもたせる」と聞いてもおそらくピンとこない人が多いことでしょう。 当サイトの迷路の中には、「ユーターン不可」という制限のついた迷路が多数存在します。実は、こういった迷路が、道が方向性をもっている迷路です。 「方向性をもった道」とは、ある方向からは進めるのに別の方向からは進むことができない道をいいます。以下に具体的な例を挙げながら説明します。 Aは普通の迷路です。a地点は普通の行き止まりであるため、上の通路をとおってゴールします。何も問題はありません。 ![]() では、「 一方通行迷路 」のように一方通行の矢印を導入したBはどうでしょうか。a地点は左側からは一方通行の制限によって通ることができません。ゴールするには上の通路を通ることになりますが、途中、ゴール手前の三叉路に差し掛かったときに、Aとは異なる事情が発生します。 Aではa地点が普通の行き止まりであったために、a地点に右側からぶち当たっても引き返すことでゴールへ向かうことができました。しかしBではa地点に右側から差し掛かったときに、何の疑問ももたずに矢印を左向きに通過してしまう可能性があるのです。つまり、いつまでも同じ場所をぐるぐる回ってしまう可能性があるのです。Aではただの行き止まりの役目しかなかったa地点に方向性をもたせることによって、その道を、「再利用」しているのです。 ま、AやBの至極簡単な迷路では誰も迷うことはないでしょうが、迷路の規模がもっと大きい場合には、知らず知らずのうちに、ゴールから遠ざかる矢印をまたいでしまって、もといた場所に戻ってしまっているものです。これが、道に方向性をもたせることのひとつの効用です。 さて次に、Cをみてみましょう。ここでは「 指示曲迷路 」のように、そこでは左に曲がらなければならない「左」という文字を導入しています。 スタート直後にある「左」地点では、左に曲がるしかありません。そして上部の環の部分をぐるっと周ってくると、先ほどの「左」地点に戻ってきます。 さっきと同じ地点に戻ってきたということは、普通に考えると、今通ってきたばかりの道は間違いだったと思うものですが、ところがどっこい、道に方向性をもたせてある場合では、同じ地点に戻ってきたとしても、それまで通った道を否定してはいけないのです。 現に、スタート地点から「左」地点をまたいでゴールの方向へ直進することはできませんが、同じ「左」地点を上方向から進入してきたときは、ゴールの方向へ曲がって進むことができるのです。これが、道に方向性をもたせることのもうひとつの効用です。(尚、このような迷路では「ユーターン不可」という条件を付け加えなければなりません。理由は簡単ですね。) ま、Cのような至極簡単な迷路ではそのからくりを見抜くまでもなくゴールできますが、迷路の規模がもっと大きい場合には、このからくりに気付いて頭を働かせなければ、なかなかゴールにたどり着くことはできません。 以上のように、道に何らかの進行条件を加えて道に方向性をもたせることで、道を「再利用」したり、同じ地点に戻ったときに「間違った」と錯覚をおこさせることができるのです。 「ユーターン不可」という制限がついている迷路を解く際には、いま自分が「どこにいるか」ということだけでなく、「どちらの方向に進んでいるか」を意識しなければならないのです。 |