***  サイト開設一周年記念特別企画  ***

自作自演インタビュー


嘉来さんに直撃インタビュー!
『 迷路サイトの誕生から今日まで 』
 

 
みなさん、こんにちは。 本日(2002.8.9)は、本格派迷路サイト「 嘉来的世界 」の管理人そして迷路作成者である嘉来さんに、インタビューを試みました。
 

インタビューア 「あ、どうも、はじめまして、こんにちは。お忙しい中インタビューの依頼を快諾してくださって誠にありがとうございます。」

嘉来 「こちらこそ、こんにちは。猛暑が続く中いらして頂いて何よりです。外は暑かったでしょう?」

インタビューア 「えぇ、そうですね。・・・今日は嘉来さんにお土産をお持ちしました。どうぞ。」

嘉来 「あっ、サラミですね。そうそう、この飴玉みたいに紙で包まれたのが好きなんですよ。さては私の プロフィール をご覧になったのですね。」

インタビューア 「もちろんですとも。」(笑)

 なぜ迷路?  脱皮のきっかけは 『2ちゃんねる』!?

インタビューア 「早速ですが、まず素朴な疑問なんですけど、なぜ『迷路』のサイトを開こうと思ったのですか?」

嘉来 「迷路って一般の人には馴染みが浅いので、そういう疑問はよくあるでしょうね。実は私も自分のサイトが迷路専門になるとは思ってもいませんでした。というのは、以前のこのサイトは、日々の雑記とか自己変革日記とかを綴ったり、生活の中の疑問点を列挙してみたり、散然とまとまりのない構造をしていたんです。」

インタビューア 「えっ?そうなんですか?全然知りませんでした。」

嘉来 「はい。文章を中心とした様々なコンテンツのひとつに、迷路のコーナーを設けていたんですが、迷路はあくまで付属的なものでした。文章を前面にだして、自分の意見を主張するサイトだったのです。しかし自分の意見を多くの人に見てもらいたいとの欲求はあれどアクセス数は散々なもので、よくて一日10ヒットでした。自分の意見文がきっかけとなって真摯な議論が展開されることを期待していたのですが、結果は散々。誰も乗ってこない。ていうか、誰も読んですらいないかもしれない。自分が苦労して文章を書いているわりには成果が何もない状態だったので、どうしたらサイトが自分の理想とする姿に近づくのだろうかと考えていたんです。サイト開設から半年ぐらい経ったときでした。そこで思い立ったのが、『2ちゃんねる』の『HP評価スレッド』にサイトの評価をしてもらうということでした。そこでは手厳しい評価を頂きましたよ。文章に深みがないとか、人に話題を投げかけるほどのセンスもないとか、これまた散々な結果でした。しかし文章は駄目でも、迷路のコーナーは何故か悪いことは言われず、むしろ面白みを感じるといった意見が多かったのです。余計なコンテンツを取っ払って迷路に特化したサイトにすれば成功するかも知れませんといった発言さえありました。文章を中心に考えていた私にとっては厳しい言葉ですが、この言葉が、光明ともなりました。そうだ、自分の得意分野は迷路なんだと。そして迷路は競合サイトもほとんどない。チャンスは今か?と。そこで急いで迷路に特化したサイトに衣替えして再度、評価依頼をしたのです。すると、評価は上々でした。こうして『嘉来的世界』は迷路サイトへと生まれ変わることになったのです。今からちょうど一年前ぐらいですかね。サイト名が『嘉来的世界』だなんて迷路サイトだとは思いもよらない名前になっているのは、開設時の名残なんです。  ・・・おっと、冒頭からちょっと話が長すぎましたか?」

インタビューア 「いえいえ、長いだなんてとんでもありません。貴重な体験談をありがとうございます。」


生き生きとした表情で語る嘉来さん。その語り口からは迷路に懸ける情熱が伝わってくる。

迷路サイト開設時のトップページ。これを知っている人はかなりレア?

 迷路との出会い  気がついたら迷路を描いていた!?

インタビューア 「しかし、迷路のサイトにしようと思い立ったところで、以後も迷路を描き続けられるという自信はあったのでしょうか。それまでに迷路を描いた経験があったとか・・・。」

嘉来 「私が迷路を描きはじめたのは、記憶にある限りでは小学校の一年生のときですね。100枚綴りぐらいのありきたりな落書き帳に鉛筆で書いていました。誰に教わるともなく。 それからしばらくブランクの期間があって、六年生の時にまた、猛烈に描きはじめました。いまでもその当時のノートが残っているんですが、いま見返してみると、あぁ、幼稚な迷路だなと感じますよ。描き方が全然なってない(笑)。迷路を馬鹿にするな、と当時の自分を叱ってやりたいぐらいです。」

インタビューア 「過去の自分を馬鹿にできるほど、今の嘉来さんが随分と進歩なさったということですよね。」

嘉来 「まぁ、いくらなんでも小学生時代ですからね、進歩もしますよ(笑)。 で、次の作成ピークが大学一年生の時に来た。そのときはちょっと自信のある作品は、ノートを10円コピーして友人に解かせてみて、自分の難易度の設定と他人が感じる難易度のズレを見ていました。迷路のアイデアはこのときに多く生まれました。実は、今このサイトに載せている迷路のいくつかは、このときに描いたものなんです。」

インタビューア 「前から疑問だったんですけど、「 指示曲迷路 」って何故か迷路図全体が前半と後半に分かれていますよね。今のお話を伺うと、これってもしかして・・・ 」

嘉来 「そう、中央がノートの折り目に相当するんです。だからただ一本の道で前半と後半を橋渡しした形になっているんです。」

インタビューア 「ははぁ、そうだったんですか・・・。 で、周囲の友人という狭い世界でしか流通していなかった迷路作品が、インターネットによって不特定多数に見てもらえるようになったわけですね。」

嘉来 「そうですね。一昔前なら本棚や押入れの中に封印されて日の目を見ることがなかった作品を世の中に公開できたわけですから、インターネットに感謝していますよ。」

インタビューア 「迷路を描くって、言ってみれば地味な作業ですよね。大学生にもなって迷路を描いている自分を変に思ったりしませんでしたか?」

嘉来 「いいえ、思いませんでした。迷路を描く行為は別に特別なことではありません。地味な作業といえば大学生なら本を読んだり、資格試験の勉強に没頭したりすることもあるでしょう。それと同様に私は迷路を描くという行為をしていたんです。ただ、迷路という分野がマイナーなばかりに変人扱いされることはあるかも知れませんが・・・。」

インタビューア 「大学生当時と今とでは迷路の描き方に変化はありますか?」

嘉来 「一番の変化は、本番をコンピュータで描くようになったことです。当たり前ですが(笑)。以前はぶっつけ本番でノートに鉛筆で描いていましたが、いまは下書きを紙にいい加減に描いて、一応の完成をみてからコンピュータで清書しています。以前は紙と鉛筆というアナログで本当に大変でした。紙の上を定規を滑らすほどに定規が黒鉛で汚れていって、その汚れが紙に移るんです。だから濃い鉛筆は使えない。かといって芯の硬い鉛筆は消しゴムで消えにくい。道の太さを一定にするのにすごく気を遣わないといけないとか、神経をすり減らす作業が多かったですね。コンピュータで描くようになってからは本当に気が楽になりました。なにせ複製と消去が瞬時に行えますからね。これは楽ですよ。以前はアイデアがポンポン出てきても描くのが大変だったのに、今は逆に、描くのが楽で、アイデアがでてこなくなりました。これはこれで困ったことです(笑)。まぁ、それはそうと、迷路を作成している最中の思考回路は以前とあまり変化がありません。ここに罠を張ろうとか、ここを袋小路にするのはありきたりだな、とか。ただ、経験を積んだことによる勘は働いてきますけど。」


 ↑ 小学校六年生の頃に描いていたという迷路ノート。嘉来さん自身は幼稚に見えるというが、私たちにとっては解く意欲を掻き立てる作品ばかりだ。


↑ 大学一年の頃に描いていたという迷路ノート。これはまさに、「 指示曲迷路 」の原作ではないか!ノートの折り目が迷路図全体を二分していたというわけだ。
 

 こころがけていること

インタビューア 「迷路を描く際に心懸けていることはありますか?」

嘉来 「そうですね。トップで『本格派迷路サイト』というキャッチフレーズを掲げているからには、手抜きをせず、人目に耐え得る上質の迷路を描くようにしています。」

インタビューア 「確かに嘉来さんの迷路は上品に仕上がっていますよね。キャッチフレーズといえば、もうひとつ、『アイデア満載の大人向け迷路集』というのがありますね。」

嘉来 「アイデア重視は大前提です。インパクトを大事にしたいのです。それから大人向けと銘打ってあるのは、自分が大人だからです。私のサイトに限らず、個人サイトの管理人さんも同様だと思いますけど、自分が作っているサイトの対象年齢は、自分と同世代の人だと思うんです。ディープでマニアックな共通趣味が介在しない限り、歳が離れすぎた人を相手にするのはぎこちない感じがすると思うんです。自然な感じに任せて迷路を描けば、自然と対象年齢が自分に近い『大人向け』になっているんだと思います。おや?あなた、「迷路だってディープでマニアックな共通趣味だろっ」と突っ込みたそうな顔してますね。」

インタビューア 「いえいえっ!そんなっ!(汗)」

嘉来 「うふふ、冗談ですよ(笑)。」

インタビューア 「アイデアを重視するということは迷路講座の『 当サイトの方向性 』 でも述べていらっしゃいますけど、アイデア切れで悩むことはないのでしょうか。」

嘉来 「もちろん悩みますよ。最近は常に悩んでます(笑)。じっくり考えて一つのアイデアが完成することもあれば、あるときふっと思い浮かぶこともあります。ふっと思い浮かぶときは二つ同時に浮かぶことが多いんですよ。以前はそれで二日続けて描いてアップロードしたりしていましたが、今ではとてもそんなことはできません。せっかく思いついたアイデアなんだから、二つ目はすぐにはアップロードしないでストックしておくんです。そして何週間か経ってから、そろそろ新作を出す時期かなと感じたときに放出するんです。」

インタビューア 「出し惜しみですね?」

嘉来 「そうとも言いますね(笑)。最近は特に自分に厳しくなったところがあって、浮かんだアイデアを、すぐにボツにしちゃうんです。以前のアイデアとの類似性がちょっとでも見えてしまうとすぐにボツ。サイトでは公表してませんが、自分の中には「モノクロ平面図形」というルールを作っています。色を多用せず、三次元図形には手を出さずという・・・そのなかでアイデアを出そうとしているのです。いくつかのアイデアを組み合わせるのもひとつの手なのですが、それではルールが複雑になって解く人がついてこない。人に解く気を起こさせるには、まずルールが単純であることが重要だと思うんです。それから、デザイン。そういった「外見」で人を惹きつけておいて、迷路本体である「中身」で勝負です。」

 ↑ 「嘉来的世界」の魅力は迷路だけではない。迷路の奥深さを語る「嘉来流・迷路講座」も必見だ。


 嬉しい瞬間 ・ 困る瞬間

インタビューア 「迷路サイトを運営していて嬉しいと思う瞬間はどういうときですか?」

嘉来 「嬉しいのはやはり、自分の作品を他人に見てもらえるといった喜びを得られることです。表現者を気取ることができることです。インターネットが普及する以前は、一部の人がプロとして、ある人は小説を書いたり、またある人は歌を歌ったりして自己を表現していた。それがいまや、インターネットのおかげで誰もが気軽に自己を表現できる場が出来上がっています。私は『迷路』という一風変わった手段で自己表現をしているわけですが、閲覧者から掲示板やメールをとおして反応が返ってきたときが一番嬉しいですね。例えば迷路図を雑誌に掲載したいとか、学校の文化祭で取り上げたいといった掲載許可願いの類はちょくちょく来ますね。こういうときに、自分の迷路作品が認められた!と胸が躍るんです。作家や歌手に例えると、本やCDが売れたりファンメールが来たということに相当するのでしょうか。そういったことの、一種の疑似体験のようにも感じます。」

インタビューア 「反対に、サイトを運営していて困ったことはないですか。」

嘉来 「う〜ん。不要なメールが来ることかな。アクセス数が増えていくにつれて、宣伝メールやウイルスメールが目に見えて増えてきているんです。毎日のように削除作業をしてます。あ、そうそう、最近、中国語の宣伝メールがよく来るようになりましたよ。『嘉来』なんて名前だからかな。」

インタビューア 「あはは、確かに。三国志にでてきそうな名前ですもんね。」(笑)

 意外な瞬間

インタビューア 「ちょっと視点を変えてですね・・・、では、「おや、これは意外な反応だな」と思ったことはありますか?」

嘉来 「はい、サイトには『大人向け』と銘打ってあるのに、中高生らしき人からの反応が目立つことです。掲示板の書き込みもそうでしたが、他にアクセス解析で新規のリンク元を辿っていくと、どうもティーンエージャーが作成したと思われる若々しいサイトが多いんです。彼らがリンクを張ってくれるのは嬉しいんですが、ちょっと、理想と現実のズレを感じる瞬間です。『迷路』という単語に興味を示すのはやはりそういう年代なんだろうかと。あるいは、大人は迷路サイトを気に入っても掲示板やメールを通したアクションを起こさないということなんでしょうか。今現在、一日100〜200アクセスあるんですが、リンク元は常に「YAHOO!」がトップで、全体の半数がヤフーの検索で「嘉来的世界」にやってくるんです。そこで『迷路』という単語で検索している人の年齢層が、今一番知りたいことです。その年齢層こそが、迷路に興味を示している年齢層なんですから。でも、知りようがない。」

インタビューア 「そうですよね。年齢層が示す興味の情報は、一般企業だって喉から手が出るほど欲しい情報でしょうからねぇ・・・。」

嘉来 「ただ、中高生の来訪が多いように感じることがあっても、彼らに媚を売るように無理に軌道修正をしようとは思いません。あくまで自分のスタイルを崩しません。これは趣味でサイトを続ける秘訣なのではないかとも思います。」

 今後の展望  テーマは 「 挑戦 」

インタビューア 「サイトの発展のために、今後どういった展開を考えていますか?企画物を立ち上げるとか・・・。」

嘉来 「サイトでは今後、「挑戦」をテーマにしていきたいと思っています。自分が奇抜な迷路アイデアを出せるかという挑戦と、来訪者にとって「挑戦」を意識させる造りにしたいと思っています。ひとつの迷路を解かなければ次の迷路に進めないとか。」

インタビューア 「それは面白そうですね。それから、私個人としては、迷路の解答を公開して欲しいという欲求があるのですが・・・。」

嘉来 「う〜ん、解答を公開するつもりは今のところありません。答えがわかってしまうと面白みがなくなってしまいますから。例えば 順踏迷路 なんて、本当に解けるの?という質問がよく来る作品なんですが、いつも解答を教えることはせずに、解くヒントを差し上げるにとどめています。」

インタビューア 「う〜ん、残念です・・・。 今後の展開を私も一人の迷路ファンとして期待しています。」

話題性抜群の順踏迷路(左)と滑曲迷路(右)。ともにビギナークラスだが、実は意外と難しい!?

 インターネットの可能性

インタビューア 「最後に、迷路とは話題が離れますけど、情報取得手段としてのインターネットの位置付けを嘉来さんなりに語っていただきたいのですが。」

嘉来 「情報取得手段の選択枝が一つ増えるということでしょうね。今だって、新聞・雑誌・テレビといった古典的なメディアから情報を仕入れている人もいれば、反対に本や新聞を読まない人、そしてテレビを見ない人もいる。これと同様に、インターネットという技術が存在しても、それを情報源として活用する人もいればしない人もいる、というふうに、自然とそういった形に落ち着いていくんじゃないかなと思います。つまり、インターネットが、人々にとって古典的なメディアと同じように馴染んでいくということです。日常的な情報源としてのインターネットは、今ではまだ少数派で小さな力かもしれませんが、近い将来、特に小さい頃からインターネットに触れて育ってきた世代が社会の中心世代になる頃には、必ず大きな力となっていることでしょう。コンテンツの有料配信システムの構築や著作権の問題なども解決の方向に向かうことでしょう。そういうことが、インターネットが本当の意味で社会に浸透するということだと思います。」

インタビューア 「嘉来さんご自身はインターネットの恩恵にあずかったと思うところはありますか?」

嘉来 「はい、先ほども言いましたが、やはり、自分の作品を世の中に公開することができたという点です。金銭に直接結びつくわけではありませんが、文学や音楽の世界でも、無名の人ほど自分をアピールする手段として有用なのではないかと思います。それからインターネットって、自分の知りたい内容について検索するのが便利ですよね。何の勉強を始めるにしろ、時間の許す限り、何でも気軽に調べられる。以前なら商業主義に乗ったパンフレットさえ手にすることが難儀だったのに。いまやインターネットで大学教養レベルのことまで独学できてしまう。その過程では、いろんなサイトでいろんな人の解説にふれるので、ひとつの考え方に染まる危険性も低いし、物事を懐疑的に見る力も養われますよね。インターネットはうまく利用すると、大変強力なツールとなると思います。そして、こうしてサイトを持つようになると、また違った側面に出会うんです。情報を発信する側の苦労が分かるというか・・・。サイトの構想、企画立案、コンテンツの制作、宣伝、その他全てを自分でやって、それぞれにおいて悩むことがある。無駄な苦悩をするぐらいならサイトを放置しとけと思うこともありますが、自分のサイトがかわいくて放っておけないんです(笑)。プロデューサー気分に浸るとでも言いましょうか。これも現実社会の疑似体験をといったところでしょう。」

インタビューア 「はあぁ、いろんなことを考えていらっしゃるんですね。サイト管理者として、そして迷路作成者として今後も私たちの期待をよい意味で裏切っていただきたく思います。今日はお忙しい中ありがとうございました。」
 
嘉来さんは思いのほか気さくな方で、迷路について語るときは活き活きと熱がこもり、言葉か次々に出てきました。普段オモテには現れない迷路作成者の心持を引き出すことができたかと思います。このインタビュー記事が、サイト来訪者の迷路に対する考えを再考させるよいきっかけになればと思います。   
(2002.8.9)