2021年5月

電子書籍を発売しました。





【※ 注 ※】 この本は、迷路図を提供するものではありません。文章からなる本です。

Kindle端末、または、Kindleアプリ で読むことができます。amazon.co.jpで購入することができます。

思い悩むことのある青年に読んでいただきたい本です。この本を読めば、目が醒めるような知的な刺激を得られ、視界が晴れることでしょう。著者としては、この本が青年の心を打ち、世代を超えて読み継がれることを願っています。

以下、「はじめに」 と 「目次」 を掲げます。 これらをご覧になり、もし内容にご興味が湧きましたら、是非ともお買い求めください。本文 約15万字、挿入図が 19枚 あります。





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は じ め に
この本は、青年期にある人を読者対象として想定しています。「青年期」が人生のいつ頃の年齢区分のことを指すのかは人によって認識が異なることと思いますが、筆者の認識で言えば、「青年期」とは、ある程度の肉体的な若さを備えていることを前提としてはいるものの、どちらかといえば年齢よりも当人の心意気の程度によって区分されるものです。知的な成長を求め、主観的にも客観的にも向上意欲が感じられ、羽ばたく将来を夢見て新たな自分へと脱皮しようとしている人が、青年期にある人です。

この本は青年期にある人を対象として、物事の視点を提供し、気付きを与え、視界を晴らすことを目的としています。これによってもたらされる効用は、明解・明快な論理で物事を適切に処理できること、無用な悩みを抱えずに済むこと、抱えてしまった悩みを解消できること、他人と不毛な議論に陥ることを防止できることなどです。これらいずれの効用も、時間の浪費を避け、自分が成し遂げたい目標に向かって邁進できる精神環境づくりに資するものです。別の言い方をすれば、この本は、青年期にある人に対して積極的に夢や希望を与えるものというよりは、隘路にはまり込むことを避けたり知的な悩みを解消したりすることに力点が置かれています。その趣旨はこの本の題名にも表れています。

人生における貴重な資源といえば「時間」です。過ぎ去った時間は取り戻すことができません。人生の時間のなかで、人は楽しみもし、喜びもし、悲しみもします。人生を豊かなものとすることができるか否かは、時間の使いかたに懸かっています。限られた人生のなかで何か物事を成そうとする場合、考慮すべき要素をできるだけ多角的な視点から検討して、成功確率を高めたいものです。青年期では、不十分な思考で堂々巡りをしたり、無用に悩んだり、他人の非論理的な発言に惑わされたりする状況に陥りがちです。この本では、そのようなことを原因とする鬱屈とした状況を「知的迷路」と呼ぶことにします。もし読者の皆さんが知的迷路に陥っているのであれば、貴重な時間を浪費しないよう一刻も早くそこから脱出することが望まれます。

成そうとする物事が自分一人で完遂することができるものである場合は、知識の吸収に励み、自分の感覚を研ぎ澄ますことがその達成手段となります。しかしながら、現実の人生では自分一人で物事を為す・成す行為だけを行うのでは不十分であり不健全です。なぜなら、人は社会から切り離すことができない存在であって、社会の中では自分一人で生きているのではなく他人との関係性のなかで生きているからです。そこでは否応なく他人の言動に接することになり、他人との関わりを避けることはできません。そこでは互いの性格を知らなければ、そして、言葉や理屈に関する認識を共有できていなければ、建設的な意思疎通はなし得ないでしょう。したがって、他人との関わりかたについて常に意識しておくことが不可欠です。

また、若い時分には世の中の多くのことが新鮮に感じられるものですが、人生が進むにつれて次第に気付いてくることがあります。それは例えば、見聞きする情報が自分が過去に接したことがある情報に類似していると感じることが多くなり、陳腐に思えてくること。それは例えば、過去に議論したことがある論点、または、似たような論点が時と場所を変えて繰り返し現れること。それは例えば、他人から好意をもたれやすい人もいれば嫌われがちな人もいること。それは例えば、自分が子供の頃には大きな存在に感じられた「大人」という存在が、自分がいざ大人になってみれば実はそれほどたいしたことはなく、知識や知恵の足りない大人が意外なほど多いこと。そして、より重要なのは、これらの現象が世の中のあちこちで独立して見られることです。このことは、これらの現象に横たわる普遍的な原理・原則が存在することを示唆しています。こうした考えに基づいて普遍的な原理・原則を見出そうとすることは、思考の訓練として大いに役立つことでしょう。

以上に述べたことに鑑みると、時間を浪費しない行動をとることや、他人との関わりかたを身につけることや、思考の訓練をすることは、人生を豊かなものとするにあたってたいへん重要なこととなります。青年期にあるうちは、これらに励むことを優先すべきでしょう。

ただしここで、青年期においてこれらのことを誰の手も借りないで行うのはお勧めしません。というのは、一人で見聞できる情報の量や質や範囲には限界があり、また、何かを為す・成すのに必要十分な量の知見や経験を蓄積するには青年期が過ぎ去ってしまう程度の長い時間が必要だからです。これらのことを青年期の間に十分量行うためには、先達を訪ねて、彼らから知識や知恵や助言を得ることが効率的です。先達の言葉には彼らの人生経験から抽出された彼らなりの神髄が詰まっており、後進である青年がこれを活用すれば、回復困難な痛手を負う危険性を小さくできるとともに、自己の成長に役立つ方策を見出すことができるからです。また、必要であれば、その重要性を認識したうえで彼らの助言に従った追体験をすることもできるからです。後進にとってこれほど時間対効果の高いことはありません。

この本は、その指南役を意図して書かれています。青年期に陥りがちな知的迷路から脱出するためには、何気なく使っている言葉の意味を明確にすること(第1章)、行動を始める前に観察すること(第2章)、見えている部分を理解するだけでなく見えていない部分を想像すること(第3章)、物事の選択に際して選択肢を十分に挙げて考慮すること(第4章)などが重要です。この本ではこれらの点に関して筆者が先達として整理した視点を紹介しています。

読めばすぐに気付くことと思いますが、この本には理性的な記述が多く、感情に訴える記述や精神論と呼ばれる類の記述がほとんどありません。理性的な記述は冷たい印象を与えるかもしれませんが、知的迷路を攻略するには理性的な思考が適しています。青年期にある人にとってこの本は、様々な気付きを得るための一助となることでしょう。大いにご活用ください。

この本を読むときの注意点を挙げるとするなら、この本に過度の期待を抱くのは禁物であることを挙げます。視点や知識や知恵を授ける場合、なにもかも手取り足取り教えることは必ずしも望ましくありません。ときには、具体的に教えるのではなく、ある程度のところで突き放し、あとは本人に気付かせるという姿勢が必要であると筆者は考えています。突き放した瞬間の相手の側には、尻切れトンボのような感覚と、ある種の余韻が残ります。特に、視点を与える場面では内容が抽象的になりがちであり、受け手の側としてはそれをどのように理解し消化すべきなのか分からないこともあるでしょう。そこでは逆説的に、提供された事項の行間に潜むものを探り当てようと努力をすることが成長の機会となり、自己の成長を実感できる場面ともなるに違いありません。

この本に書かれていることは多くの場合、読者を「説得」することを目的とするものではなく、その前段階である「視点の提示」にとどめられています。これを読んだ読者の皆さんがどのように考えるかは皆さん次第です。この本では、具体的に教える姿勢と当人に気付かせる姿勢とをうまく調和させることを目指しました。読者の皆さんにとってこの本がそのような仕上がりになっていれば幸いです。


目  次
第1章 言葉の意味を明確にする
1-1 「実力」と「運」
   (i) 定義
   (ii) 実際の例
   (iii) 留意点
1-2 「才能」と「努力」
   (i) 定義
   (ii) 定義に従うということ
1-3 できる/できない
1-4 比較対象を要する言葉
1-5 「冗談」
1-6 「可能性」の表現方法と「時間」との関係
1-7 「手段」と「目的」
1-8 正しい/誤っている
   (i) 思想・考え方・意見等
   (ii) 事実認識・数学上の理解・自然現象の理解
   (iii) 留意点
1-9 よい/悪い
1-10 美しい/醜い ほか
1-11 他人が濫用している言葉を自分が使うときに気を付けること

第2章 観察する
2-1 人の性格が表れる場面
2-2 他人の発言を観察する
2-3 心の奥底にあるものが表出する
2-4 離散集合を観察する
2-5 政治・政策とは何のことか
2-6 賛同者と反対者は必ず存在する
2-7 人材の選抜手段
2-8 比較せよ!
2-9 自分自身を観察する

第3章 見えない部分を想像する
3-1 例外的な現象が広く伝達される
   (i) ニュース
   (ii) 成功者が語る成功体験
3-2 分布を想像する
3-3 波及効果を想像する
3-4 他人の発言の傾向
3-5 超えてはならない一線を想像する
   (i) 感情面
   (ii) 行動面
3-6 相手の状況を想像する
3-7 体力の衰えと頭脳の衰え
3-8 展望と限界
3-9 対案を考えることで、他人の思考の苦労がわかる
3-10 裏に潜む労力を想像する
3-11 情報の有効期限
3-12 自分を選ぶのは他人
3-13 自分が生まれる前の過去の状況を調査する

第4章 選択する
4-1 勉強する理由
   (i) 四つの理由
   (ii) 知識の集積・中抜き・誤誘導について
4-2 身体的特徴と頭脳
4-3 付き合う人や情報を選択する
4-4 金銭的利益を生む方法
4-5 職業の選択方法
   (i) 幼児思考からの脱却
   (ii) 職業の実体の性質に着目する
4-6 大きな存在になる方法
4-7 誰からの支持を得たいのか
   (i) 誰からの支持を? 何の目的で?
   (ii) 「赤の他人」という選択肢
4-8 「誰が言っているのか」を重視すべきなのか?
4-9 情報発信者を選択する
   (i) 情報の流れ方を想像するとともに、情報発信者を選択する
   (ii) 情報発信者とインターネットとの関係
4-10 証明されたことでないと受け入れないのか?
4-11 会話する相手や、会話に臨む姿勢を選択する

第5章 行動の指針
5-1 相手の話を最後まで聞く
5-2 より具体的な表現を使う −表現することから逃げない−
   (i) 成長を感じられない表現
   (ii) 具体例
   (iii) 不毛な例
5-3 客観表現を使うか、主観表現を使うか
5-4 全ての人は個別
5-5 関連の程度がはっきりしないものを、はっきりしているかのように捉えない
5-6 安易な一般化をしない
5-7 事実と推測とを区別する
5-8 新奇なのか? 陳腐なのか?
5-9 傾向を捉える・傾向として受けとめる
5-10 相対化・相対視の観点をもつ
   (i) 価値観について
   (ii) 事実について
   (iii) それを基準に据える根拠はあるのか
5-11 適材適所ということ
5-12 選択肢や可能性を探索する
5-13 若い世代であるほど、意見を発信しよう
5-14 「時間を有効に使う」とはどういうことか
   (i) 時間を有効に使う方法
   (ii) 留意点
5-15 行動指針とならないもの

第6章 他人との関係
6-1 伝えたいことが相手に正確に伝わっているか?
6-2 原則が先、例外は後
6-3 真剣・本心であることを伝える手段
6-4 周りからの期待を集めるということ
6-5 判断材料としての情報を共有する
6-6 敢えて主観的な数字を言う
6-7 自分が話に絡められると注意が向く
6-8 比喩は難しい
6-9 差を利用する
6-10 自分からみた自分の価値≠他人からみた自分の価値

第7章 一歩を踏み出した君へ
7-1 何のために? 誰のために? −学業や仕事に疑問を感じている君へ−
7-2 「詰み」ということ −危険予測能力が高い君へ−
7-3 速度と加速度 −“自分は進歩していない!”と自己嫌悪している君へ−
7-4 選択をやり直すということ −進路を誤ったと嘆いている君へ−
7-5 次の波に乗るために、素地を作っておく −夢がない君へ−
7-6 知識を蓄える≠知識を活かす −知識欲の旺盛な君へ−
7-7 短期目線者と長期目線者は相容れない −私たち全員へ−

あとがき





(図の抜粋見本)















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